NotebookLMで過去見積を検索する方法
NotebookLMとは、アップロードした資料だけを根拠に答えてくれる、Googleのノート型AIツールです。この仕組みを使うと、単価表と過去の見積書を入れておくだけで、「前に似た案件いくらだった?」に根拠つきで答えてもらえます。この記事は、見積書を探すだけで半日つぶれている中小企業の担当者や経営者に向けて書きました。
なお、NotebookLMは2026年7月に「Gemini Notebook」へ名称が変わったと、TSクラウドの解説記事に注記されています。この記事では、検索で通りのよい「NotebookLM」で統一します。
見積書って、フォルダの奥に埋もれてて探すだけで疲れるんですよね。
それ、ほんまにあるあるやね。探す作業はAIに丸投げして、人は判断だけすればええんよ。
過去見積の検索は、NotebookLMで何が変わる?

結論から言うと、NotebookLMは「見積を作るAI」ではなく「見積の根拠を探すAI」として使うのが正解です。金額を作らせるのではなく、過去のどの案件が近いかを探させます。ここを間違えなければ、失敗しにくい使い方になります。
NotebookLMの特徴は、指定した資料のみを情報源にすることです。TSクラウドの解説によると、一般のチャットAIは外部の不確かな情報に引っ張られ、もっともらしい嘘、いわゆるハルシネーションが出るリスクがあります。NotebookLMは登録した資料に限定して答え、どこを引用したかも示してくれます。見積業務のように「裏付けが命」の仕事と相性がいいのです。
建設業の見積AIを解説するAX CAMPの記事も、同じ考え方でした。同記事は、一般的な生成AIは自社の過去の取引価格や仕入れ先ごとの個別単価を把握していないと指摘しています。そのため、自社の過去資料や更新済みの単価表を検索対象にして、金額計算は表計算ソフトなどで行う運用を勧めています。私もこの役割分担に賛成です。
具体的には、次のような問いを投げられます。
- 木造2階建ての外壁塗装で、足場代を含む過去の見積を3件挙げて
- この仕入れ先の単価が、昨年から変わっている品目はどれ?
- 値引きを入れた案件と、その理由が書かれた箇所を教えて
私自身も、調べ物で集めた資料を一つのノートに入れて質問する使い方を日常的にしています。資料を読み返す時間が、驚くほど減ります。見積書でも同じことが起きるはずです。
単価表と過去見積を入れる手順は?

やることは、資料を整えて入れ、質問するだけの3ステップです。難しい設定はありません。大事なのは入れる前の下ごしらえで、ここで精度の大半が決まります。
- 資料を集める。単価表はGoogleスプレッドシートかPDF、過去の見積書はPDFで用意します。
- NotebookLMで新しいノートを作り、「ソースを追加」から資料を入れます。
- 質問する。回答に付く引用番号をクリックして、原本の該当箇所を必ず確認します。
下ごしらえのコツは三つあります。まず、ファイル名に案件名と日付を入れます。「見積_A邸外壁_2026-03.pdf」のようにしておくと、AIが新旧を見分けやすくなります。次に、単価表には有効日を書いておきます。部材単価は変わるので、いつ時点の単価かが分からないと危険です。最後に、スキャンしただけの画像PDFは読み取りが不安定になりがちなので、文字が選択できるPDFで用意すると安心です。
うちの見積書、半分は紙をスキャンしたやつなんですけど…。
ほな、まず直近の案件だけ入れて試したらええよ。全部やろうとせんでも、最初は10件で十分わかるで。
表にまとめさせると、比較が一気に楽になる
NotebookLMには、2025年12月のアップデートで「データテーブル」機能が加わったとTSクラウドが紹介しています。複数の資料から指定した項目を抜き出し、一覧表にしてくれる機能です。生成した表はGoogleスプレッドシートへ書き出せます。
たとえば「案件名、工事内容、延べ面積、見積総額、値引き額」を指定すれば、過去10件の見積が一枚の表になります。あとはスプレッドシートで並べ替えたり、計算したりできます。AIが整理して、人が判断し、金額の計算は表計算ソフトがやる。この三者の分担がきれいです。
詳しくは、TSクラウドのNotebookLMデータテーブル機能の解説に手順がまとまっています。単価表とAIをどう連携させるかの考え方は、過去のブログ記事でも書いているので、あわせて読んでみてください。
料金と限界、使う前に知っておくことは?

まず無料で試せます。有料にするかは、資料の件数で決めれば十分です。ただし「50件の壁」と「金額は原本確認」という二つの注意点があります。
料金は、uravationが2026年9月22日に公式ページを確認してまとめた数字を引くと、次のとおりです。
買い方 | プラン | 料金 |
|---|---|---|
無料 | Gemini Notebook Standard | 0円 |
個人 | Google AI Pro | 月額2,900円 |
法人 | Google Workspace Business Standard | 1人あたり月額1,600円(税別・年間プラン) |
同記事によると、無料版で最初に当たる壁は、1ノートブックあたりソース50件までという上限です。有料プランでは100〜600件に広がります。過去見積が数百件ある会社は、年度ごと、工種ごとにノートを分けるのが現実的です。料金は変更されることがあるので、契約前にNotebookLMの料金プラン解説の出典リンクから、公式の最新表示を確認してください。
データの扱いも気になるところです。aipicksの解説は、Googleがアップロードした資料をモデルの学習に使わない設計を公表していると伝えています。ただ、会社で使うなら個人アカウントを配るより、Workspace経由で管理するほうが現実的です。取引先の単価は機密情報なので、社内ルールと照らして判断してください。
AIが答えた金額って、そのまま見積書に使っても大丈夫なんですか?
そこは絶対あかん。AIは探す係、金額を決めるのは人間や。引用元の原本を見てから使うんやで。
これは私の考えですが、AIの出力を確かめる手間を惜しむと、結局あとで高くつきます。AX CAMPの記事も、検証せずに使うと実際の原価とずれて赤字受注につながるリスクがあると注意しています。「探すのはAI、決めるのは人」。この線引きさえ守れば、怖いツールではありません。
まとめ:探す時間を、人にしかできない仕事へ
過去見積の検索は、NotebookLMにとても向いた仕事です。無料で始められて、試すのに特別な準備はいりません。まずは直近の見積書10件と単価表を入れて、一つ質問してみてください。「なんだ、こんなに簡単だったのか」と、きっと思うはずです。
私がAIに期待しているのは、単なる時短ではありません。資料を探す、表に写す、といった面倒な作業を任せて、お客さんとの対話や現場の判断といった、あなたの好きで得意な仕事に時間を使うことです。あなたが一番力を発揮できるのは、書類を探している時間でしょうか。きっと違うはずです。浮いた時間で、何をしたいですか。
見積業務の検索や整理の自動化を社内で進めたい方は、つむぎや株式会社にお気軽にご相談ください。社内で使いこなせる人を育てたい場合は、研修もご用意しています。最初の一歩を、一緒に踏み出しましょう。