AI研修は内製か外注か、社内講師の育て方
AI研修の内製化とは、外部に頼りきらず、社内の人が講師を務めて自社の業務に合わせた研修を続ける体制のことです。結論から言うと、判断の分かれ目は「年間の研修回数」と「社内に教えられる人がいるか」の2点です。この記事では、費用の比べ方と、社内講師の育て方を順番にお話しします。
内製って、結局お金がかかるし大変そうなイメージなんですが…。
ええ疑問やね。確かに最初は手間がかかるんやけど、やり方さえ分かれば思てるより全然カンタンやで。
内製と外注、3年で見るとどっちが得?

内製は初年度が高く、外注は毎年同じ額がかかり続けます。そのため、研修を何年続けるかで答えが変わります。まずは公開されている試算を見てみましょう。
試算の前提 | 完全外注 | 完全内製 | ハイブリッド |
|---|---|---|---|
30名・月1回(課題解決プラットフォーム社の試算) | 1,800万円 | 1,250万円 | 1,440万円 |
100名規模(同社の別記事の試算) | 1,900万円 | 2,000万円 | 1,400万円 |
どちらも3年間の合計額です。前提が違うので数字はバラバラですが、読み取れることは同じです。完全内製は条件次第で外注より高くなる一方、外注と内製を組み合わせたハイブリッド型は、2つの試算とも最も安く収まっています。
回数の目安もあります。ウラベーション社の記事では、年6回未満なら外注が割安、6回以上なら内製化を検討する価値があるとされています。もう一つ見落としやすいのが、社内講師の準備時間です。同じ記事でも、準備時間に時給を掛けて試算するよう勧めています。
私自身、毎日AIを使っていて痛感するのは、道具の進化が速いことです。教材は数か月で古くなります。だから「一度作って終わり」は成立しません。更新の手間まで含めて考えるのがコツです。
社内講師はどう育てる? 小さく始める5ステップ

社内講師は、大げさな養成プログラムがなくても育てられます。必要なのは「毎日AIを使っている人」と「小さな実践の場」です。厚生労働省の令和6年度「能力開発基本調査」では、人材育成の問題点として「指導する人材が不足している」と答えた事業所が59.5%で最多でした。つまり、教える人づくりは多くの会社の共通課題です。
- 候補を1人決める。直近3か月、ChatGPTやClaudeを実務で使っている人が理想です。
- 外部の基礎研修やTrain the Trainerで「教え方の型」を入れる。
- 自社の業務で使える演習を1本だけ作る。たとえば、メールの下書きや議事録の要約です。
- 10名前後でパイロット実施し、感想をもらって直す。
- 四半期に1回、教材を更新する。講師は最低2名にしておく。
でも、うちにはAIに詳しい人なんて一人もいないんです…。
それやったら、まず外注で始めたらええんよ。内製は「いつか」の選択肢に取っておいたらええ。
人材不足への動きは世界でも出ています。Anthropicは2026年10月2日、企業のAI人材ギャップに向けて、1万人のエンジニア育成に1億ドルを投じると発表しました(Anthropic公式ニュース)。これは見出しレベルの紹介ですが、「教える人を育てること」が重要な投資だと世界が見ている証拠だと私は思います。
内製と外注、何を分ければいい?

おすすめは、内製と外注の役割分担です。自社の業務に直結する部分は内製、外の知識が要る部分は外注にします。
- 内製に向く:自社データを使った演習、新入社員研修、月1回の活用共有会
- 外注に向く:最新動向のインプット、セキュリティ・著作権、経営層向けのAI戦略、講師のスキル更新
私も、ブログの下書きや調べ物、スライド作りでAIを毎日使っています。そこで感じるのは、AIが一番役に立つのは「面倒な下作業」だということです。研修も同じで、教材の下書きや演習問題の素案はAIに任せられます。講師は「現場のリアルな話」に集中できます。
最後に、一つ問いかけです。あなたの会社で、一番「教えるのが好き」「得意」な人は誰でしょうか。内製化の本質は、効率化そのものではありません。面倒な作業はAIに任せて、人が好きと得意を活かせる状態をつくることです。講師に向いているのは、教えるのが好きな人です。
まとめ:最初の講師は、小さく始めていい
AI研修は、内製か外注かの二択ではありません。まず外注で型を入れ、次に社内講師を1人育て、徐々に内製の比率を上げる。この流れが、費用面でも定着面でも現実的です。完璧な体制を待つ必要はありません。やってみたら「なんだ、こんなに簡単だったのか」と必ず思います。まずは社内で一番AIを使っている人に、声をかけてみてください。
社内講師の育成や研修の進め方でお悩みの方は、つむぎや株式会社にご相談ください。研修の内容もご覧いただけます。ほかのAI活用の記事は、ブログ一覧からどうぞ。